
『日本の公安警察』
青木理著/講談社現代新書/講談社50%ポイント還元キャンペーン935円(468pt還元、紙の本の価格990円)
一般の警察が法律に違反した者を取り締まるのに対し、公安警察は国家に反対する人々を取り締まる、戦前の特高警察をルーツに持つ組織だ。本書ではその成り立ちから現在の組織構成と規模、主な活動内容などを解説している。
特高はGHQによって解体されたが、ほとんど間を置かずに公安と名を変えて復活した。法律を守ることより国家を守ることを優先し、そのためには多少の非合法活動も辞さない彼らは、旧共産圏の秘密警察に近い。日本の公安警察も活動内容は大半が秘密にされている。
彼らが純粋に国家の安寧を願うのであれば良いだろう。だが現実はそう甘くない。秘密に守られた組織は確実に腐敗するし、平和によって存在意義が揺らげば組織防衛のために敵を作り出そうとする。古典的には共産党を危険団体と言い張ることによって予算を獲得しているし、市民団体や左派ジャーナリストも標的にされている。
彼らのような存在が全く無意味だとは言わないが、必要以上に権力を持たせることは危険でもある。彼らが国民を監視するのと同程度には、彼ら自身が監視されるべきだろう。