2022年09月17日

電子書籍『超孤独死社会』

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『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』
菅野久美子著/毎日新聞出版/プライムデー 最大70%OFF Kindle本セール704円(7pt還元、通常期1500円、紙の本の価格1760円)

 孤独死に伴う特殊清掃や遺品整理の話はすでに何冊か読んだが、本書でも過酷で胸の痛い事例が紹介されている。明日は我が身というか、どんな準備と対策をとっておくべきか考えながら読んだ。後半ではいくつかの業者や自治体が取り組んでいるサービスが紹介されているので参考にしたい。

 紹介された事例はいずれもゴミ屋敷化していたものだが、きちんと整理整頓されて早期に発見されれば専門業者が呼ばれる必要もないので、そういう事例がどのくらいあるのか気になった。できればそうなりたい。

 本書では、亡くなった方だけでなく特殊清掃や遺品整理を仕事に選んだ人達も詳しく紹介されている。あまり積極的に選ぶ人はいなさそうな仕事なので、そこに至った彼らの人生もまた興味深い。これから需要は増える一方だと思うが、本書で紹介されたような良心的な業者が多くなってほしい。
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電子書籍『激動 日本左翼史』

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『激動 日本左翼史 学生運動と過激派 1960−1972』
池上彰、佐藤優著/講談社現代新書/最大50%還元冬のKindle本ポイントキャンペーン847円(254pt還元、紙の本の価格1012円)

 『真説 日本左翼史』の続編。前作では共産党と社会党を中心に政治家の関係や活動の流れを紹介していたが、本作では新左翼や学生運動を中心にいわゆる過激派の歴史を扱っている。

 共産党が武装闘争から距離を置いたことに不満を持った若者が新左翼と呼ばれる様々な団体を作ったものの、しょせんは「子供の政治」であり自衛隊どころか警察にも歯が立たない。行動が行き詰まるなかで思想や主張だけがどんどん過激になっていく。次第に攻撃の矛先は他のセクトへ向かって内ゲバとなり、さらには仲間内にも向かって山岳ベースでの殺人とあさま山荘事件を引き起こす。

 同じ年にはテルアビブで空港乱射事件もあり、この頃から世間の支持は完全に失われてしまう。これらの凄惨な事件の数々は、多くの日本人に政治活動への忌避感を強く植え付けた。それによって最も恩恵を受けたのは自民党を始めとする既存の権力者だろう。公安は単に彼らを逮捕するのではなく、あえて事件を起こさせて世間から浮かせたという話も出てくる。文字通り権力は一枚上手だったのだ。

 社会主義国がことごとく独裁国家になってしまったように、学生運動もことごとく過激化していった。その思想自体に独裁や過激化を推奨する要素はないように見えるのに、これだけ同じパターンが繰り返されるのはやはり何らかの因果関係があるのだろう。

 本書の終盤で指摘されているように、同じような主張を持つ人々の集まりではより極端な説を唱える者が偉いとみなされ、過激になる傾向がある。今風に言えばエコーチャンバーだろうか。左翼に限らず「同志」の集まりは常にその危険を持っており、自分たちがそうなっていないか常に自問する必要があると感じた。
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2022年08月30日

オーディオブック『マリアビートル』

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『マリアビートル』
伊坂幸太郎作/原島梢朗読/KADOKAWA/Amazon Audible聴き放題(Kindle版733円)

 前作『グラスホッパー』に続く殺し屋シリーズの2作目。東京から盛岡へ向かう東北新幹線の車中で大勢の殺し屋たちが密かに死闘を繰り広げる。前作の登場人物が何人か出てくるが物語としては独立している。荒唐無稽というかご都合主義的な展開も前作同様だが、様々な伏線が最後の方で一気に回収されていく。

 半分余り読んだところで本作がブラッド・ピット主演でハリウッド映画化されると聞いた。たくさんの銃が出てくるので日本の話としてはだいぶ無理があるが、アメリカのアクション映画には合っていると思う。
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2022年08月16日

電子書籍『2030 半導体の地政学』

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『2030 半導体の地政学 戦略物資を支配するのは誰か』
太田泰彦著/日本経済新聞出版/最大50%還元冬のKindle本ポイントキャンペーン1980円(990pt還元、紙の本の価格1980円)

 半導体を制するものが今後の世界を制する。最先端チップを作ることができる企業は限られており、サプライチェーンの各所に独占や寡占が存在する。その中にあって、各国はどのような動きを示しているか。米国、台湾、中国、欧州、そして日本の現状と今後の戦略について紹介している。2030年を近い将来として扱っている上、時事的な話題が多いので数年後には陳腐化してしまうだろうが、これまでの歴史と現状をおおまかに把握することができた。

 別の本で軽く読んだことがあるが、5ナノや3ナノといった最先端の半導体チップを作る技術は一般人の想像を絶するもので、機密が多い以上に難解すぎて、我々が詳細を理解するのは困難だ。しかし技術を持つ企業の深謀遠慮や地政学的リスクを制御しようとする政府の思惑が絡み合うドラマとして興味深かった。面白いと言っている場合ではないかもしれないが。

 日本については残念な面が多い。かつてはこの分野でトップの座を奪い合ったこともあるのに、いまやかなり存在感が薄くなっている。本書後半ではそれでも日本の技術が強い部分が残っていることを示しているものの、それを国家戦略として生かすような動きがどれだけあるか疑問だ。ただ、この分野の勢力分布はめまぐるしく変化するので、2030年にどうなっているかは本当に予想できない。期待と不安が入り交じる読後感だった。
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2022年08月09日

オーディオブック『ペンギン・ハイウェイ』

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『ペンギン・ハイウェイ』
森見登美彦作/安國愛菜朗読/KADOKAWA/Amazon Audible聴き放題(Kindle版614円)

 小学四年生の男の子の冒険譚。四畳半神話体系などで知られる森見登美彦が2010年に書いた作品で、第31回日本SF大賞を受賞しているが、どちらかというとファンタジーではなかろうか。

 少年が暮らす町の中に、ある日突然大量のペンギンが現れるという事件が起こり、彼はその謎を研究し始める。町外れの草原で不思議な物体を見つけたクラスメートやいじめっ子との抗争、歯医者のお姉さんとの交流を交え、謎はどんどん膨らんでいく。

 子供の成長譚とも思えるが、最初からやたら大人びた思考をする子なので、成長という感じではない。それでも、騒動が終わった後に未来に向けて決意を新たにする様子は頼もしく、少し大人になったようではあった。
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2022年08月07日

電子書籍『老いの哲学』

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『老いの哲学 なぜあの人は100歳になってもボケないのか』
白澤卓二著/主婦の友社/最大50%OFF Kindle本 社会・政治書キャンペーン300円(3pt還元、通常期859円、紙の本の価格2491円)

 日本抗加齢医学会の理事を務め、長年老人医療に携わってきた白澤医師による老人論。90歳以上になってなお元気だった長寿者の実例を紹介しつつ、健康で長生きするにはどうすべきかを説明している。ただ、中にはそれほどしっかりしたエビデンスに基づいているわけでもない著者の所感もあるので、おおまかなイメージとして捉えるべきだろう。

 長寿のために気をつけるべきこととして列挙されている内容は特に目新しいものではない。生活習慣病を予防するため控えめな食事と継続的な運動を心がけること。生涯打ち込める趣味や仕事を持って最後まで活動し続けること。様々な世代の人と交流し常に気持ちを若く保つことなどだ。

 私も50歳になったので病気予防については色々やりだしているが、退職後の趣味活動については今のところ心許ない。海外駐在になってから特に趣味が減ってしまったので、日本に戻ったら新しいことにチャレンジしようと思う。
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2022年07月29日

電子書籍『アフター・リベラル』

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『アフター・リベラル 怒りと憎悪の政治』
吉田徹著/講談社現代新書/Kindle版836円(8pt還元、紙の本の価格1100円)

 20世紀が終わる頃、冷戦が終結して専制国家は激減し、差別は悪いことだという価値観が定着し、マイノリティの権利も尊重されるようになりつつあった。それはリベラルの勝利のように見えた。しかし21世紀はテロで始まり、東西対立とは別の対立が始まった。近年ではリベラルに対する反動が強まっている。どうしてこうなったのか。世界は平和で幸福になるはずではなかったのか。

 本書はそんな疑問を解消してくれた気がする。もちろん本書に書かれていることはひとつの見方であって、他の解釈もあるだろうが、現時点では非常に説得力がある。

 個人の行動の自由を際限なく認めれば弱肉強食の世界になり、平等や公正は失われる。そのため本質的にはリベラリズムと民主主義は相性が悪いはずだったが、全体主義(ファシズムや共産主義)への対抗として両者が結びついたリベラル・デモクラシーが生まれた。この頃の国家のあり方を著者は「共同体・権力・争点」の三位一体と呼んでいる。

 しかしリベラル・デモクラシーが勝利すると、存在意義を失って三位一体は崩壊する。経済的にある程度豊かになって飢えることがなくなると、階級や組織に基づいた政治活動が個人を基礎とする運動に変わった。68年革命と呼ばれる転換が訪れ、個人の承認欲求やアイデンティティを重視した政治が求められ、自由が称揚された。

 リベラリズムは直訳すれば自由主義だ。政治的自由や経済的自由など様々な自由があり、著者は5つに分類している。しかし問題は、自由な社会は自己責任の社会でもあるという点だった。自分で選んだ結果は自分で負わなくてはならない。それは、能力や財産をたくさん持っている強者にとっては望ましい社会だが、弱者にとっては辛いのだ。それが宗教の復権や権威主義の台頭を招いたのだという。

 なるほどと思うと共に、じゃあどうしたらいいのかという諦観が湧く。おそらく当分は今のような世界が続くだろう。誰もが幸せになれる社会を作ろうとしても、そもそも幸せの条件がバラバラなのではどうしようもないだろう。納得と同時に残念さに襲われた。
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2022年07月22日

オーディオブック『パーク・ライフ』

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『パーク・ライフ』
吉田修一作/早川剛史朗読/文藝春秋社/Amazon Audible聴き放題(Kindle版469円)

 表題作の『パーク・ライフ』は芥川賞受賞作らしいが、なんだか奇妙な話だった。しばしば日比谷公園に行く主人公が、たまたま電車で間違って話しかけてしまった女と公園で会うようになる。職場の同僚との些細なやりとり。全体として大きな展開があるわけでもなく、いわば少しだけ非日常の混じった日常風景が淡々と語られている。

 少し舌足らずな所もある朗読を車に揺られながらオーディオブックで聴いていたら、子守唄のように心地よく寝そうになることが多々あった。面白くないというわけではないが、起承転結を知るのではなく風景としての物語を楽しむのが正しい読み方だろう。

 一緒に収録されている『flowers』の方も同様に淡々と語られる。こちらはもう少しドラマチックな展開があってそれなりに普通の小説だが、やはり寝そうになった。主人公が癖の強い同僚や親戚や妻と交流しながら悶々とする。最後に勇気?を振り絞るが、結局大きく変化することはない。
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2022年07月19日

オーディオブック『傷物語』

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『傷物語』
西尾維新作/井上麻里奈朗読/講談社/Amazon Audible聴き放題(Kindle版1430円)

 物語シリーズの二作目だが時系列的には最初の話で、主人公が吸血鬼に出会って特殊体質になるまでの話。これはアニメ版を観ていないので展開はまったく知らなかったが、思ったよりエッチな展開も多く、多分そのままアニメ化はしていないだろう。

 『化物語』は上中下でそれぞれ朗読者が違ったが、本作もまた別の人が読んでいる。セリフはかなりアニメ的な朗読でラジオドラマ的に聴けるが、バトル展開での叫び声などは時にうるさく感じる部分もあった。この辺は好みの問題だろう。
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2022年07月05日

オーディオブック『グラスホッパー』

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『グラスホッパー』
伊坂幸太郎作/原島梢朗読/KADOKAWA/Amazon Audible聴き放題(Kindle版574円)

 悪徳企業の社長のドラ息子に妻を殺された男が復讐のためにその会社の社員となって機会を探っていたのだが、正体がバレそうになった矢先にドラ息子が何者かによって殺される。殺したと思われる人物の後を付けていくが・・・。

 様々なタイプの殺し屋がバトルを繰り広げる異能バトルみたいな作品。伊坂幸太郎らしく、ちょっとオカルトというか超常現象じみた展開や荒唐無稽でご都合主義っぽい部分もあるが、エンターテイメントとしては面白く読めた。殺し屋シリーズとして2作目や3作目もあるようなので読んでみる。
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